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cDNA display法

CDNADISPLAYほう

cDNA display法は,mRNA display法をもとに開発された,タンパク質と対応するcDNAを結びつける日本発の手法である.本手法の鍵は,cnvKリンカー(アカデミアであればEpsilon Molecular Engineering社より購入可能)とよばれる特殊なDNAオリゴである.タンパク質がコードされたDNA(本論文ではAgilent社,Twist Bioscience社よりオリゴプールとして購入)を用意し,試験管内転写によりmRNAを合成する.リンカーの相補配列をmRNAの3′末端に付加しているため,リンカーをmRNAとアニーリングさせることができる.その後,紫外線を照射することで,リンカー中のcnvK塩基とmRNA中の塩基が架橋され,両者が共有結合を形成する.このmRNA-リンカー複合体を,試験管内翻訳系へ加えると,mRNAからタンパク質が翻訳される.リボソームが3′末端付近のリンカーまで到達すると,リンカー中のピューロマイシンとタンパク質が共有結合により結ばれ,mRNA-リンカー-タンパク質複合体が形成される.さらに,この複合体をビーズ上で精製し,逆転写酵素を加えることでリンカーをプライマーとしてcDNAが合成されるため,mRNA/cDNA-リンカー-タンパク質の複合体が形成される.これをビーズ上から溶出することで,最終的にはcDNA-タンパク質複合体が取得できる.以上のように,cnvKリンカーは,cnvK塩基を含むためmRNAと共有結合を形成し,ピューロマイシンを含むためタンパク質と共有結合を形成することに加え,逆転写酵素のプライマーとしても働くため,「一人三役」をこなすことが可能な精緻に設計されたオリゴである.(実験医学増刊4315より)

構造生命科学 AlphaFold時代にどう活かす?

生命機能を解く、変える、創るための技術と研究戦略

加藤英明,西増弘志/編

解説は発行当時の掲載内容に基づくものです

本コンテンツは,2018年まで更新されていた同名コンテンツを元に,新規追加・再編集したものです

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